本ページの位置づけ
このページは、Rocky Linux 9 のインストール直後に行う基本設定5テーマを一望できる「総まとめページ」です。各テーマの目的と代表的なコマンドはこのページだけで把握できますが、より詳しい手順・トラブル対処・応用設定は、それぞれのテーマ名の下にある「詳細ページへ」リンク先の個別ページにまとめています。リポジトリの追加(4章)だけは独立した詳細ページを設けていないため、このページ内で完結する形でしっかり解説しています。
目次
0. 5つの基本設定の全体像
OSのインストールが終わった直後のRocky Linuxは、まだ「誰でも・どんな設定でも」使える素の状態です。実際にサーバーとして運用する前に、以下の5つを最低限押さえておく必要があります。
ユーザー管理
作業用の一般ユーザーを作成し、必要な権限だけを与える
suの利用制限
管理者権限への昇格を、許可したユーザーだけに絞る
固定IPアドレス
サーバーのIPアドレスをDHCPから固定に変更する
リポジトリの追加
EPEL・Remiなど、標準以外の便利なパッケージ源を有効化する
スリープ防止
ノートPCをサーバー化する場合、遠隔操作中に切断されない設定
1. ユーザー管理(作成・root切替・削除・sudo権限)
インストールガイドのSTEP5でも1人分のユーザーを作成していますが、ここでは日々の運用で必要になる「ユーザーの追加・切替・削除・権限付与」の一連の操作をまとめて確認します。
1-1. 一般ユーザーの新規追加
# ユーザーアカウントを作成(-m でホームディレクトリも同時作成)
sudo useradd -m rocky
# パスワードを設定
sudo passwd rocky
1-2. 一般ユーザーからrootへの切り替え
# su - (ハイフンを付けると環境変数もrootのものに切り替わる)
su -
Password: **** ← rootのパスワードを入力(画面には表示されません)
# 管理者作業が終わったら通常ユーザーに戻る
exit
ポイント:su と su - の違い
su(ハイフン無し)は現在のユーザーの環境変数を保持したままrootになりますが、su -(ハイフン付き)はrootとしてログインし直したのと同じ状態になり、PATHなどの環境変数もrootのものに切り替わります。管理者作業を行う際はsu -を使うのが基本です。
1-3. ユーザーの削除
# ユーザーアカウントのみ削除(ホームディレクトリは残す)
sudo userdel rocky
# ユーザーとホームディレクトリを完全に削除(データも含めて削除。推奨)
sudo userdel -r rocky
注意:-r オプションは取り消せません
userdel -rを実行すると、対象ユーザーのホームディレクトリ配下のファイルがすべて削除されます。必要なデータが残っていないか、実行前に必ず確認してください。
1-4. ユーザーを管理者にする設定(sudo権限の付与)
# STEP1: 既存ユーザーをwheelグループに所属させる(wheelグループ=sudo実行可能グループ)
sudo usermod -aG wheel rocky
# STEP2: visudoでsudoers設定を確認(構文チェック機能付きの安全な編集コマンド)
sudo visudo
# 以下の行が # でコメントアウトされていないことを確認する
# %wheel ALL=(ALL) ALL
# STEP3: 動作確認(対象ユーザーでログインし直してから実行)
sudo whoami
# パスワード入力後 "root" と表示されれば成功
# 所属グループの確認(権限が反映されない場合の切り分け用)
groups rocky
注意:グループ変更はログインし直すまで反映されない
usermod -aG wheelでグループに追加しても、すでにログイン中のセッションには反映されません。一度ログアウトして再ログインする(SSHの場合は接続をやり直す)ことで反映されます。
2. suの利用を制限する(セキュリティ強化)
初期状態のLinuxでは、rootのパスワードさえ知っていれば「どのユーザーでも」suコマンドでrootになれてしまいます。これは、rootパスワードが漏れた場合に誰でも管理者になれることを意味し、セキュリティ上望ましくありません。suを実行できるユーザーを、あらかじめ許可したグループ(通常はwheel)に限定します。
2-1. 設定手順
# STEP1: suを許可したいユーザーをwheelグループに追加
sudo usermod -aG wheel rocky
# STEP2: PAM設定ファイルを編集
sudo vi /etc/pam.d/su
# STEP3: 以下の行の先頭にある # を削除してコメントアウトを解除する
# auth required pam_wheel.so use_uid
# ↓
# auth required pam_wheel.so use_uid
2-2. 動作確認
# wheelグループに所属していない別ユーザーでログインし、suを実行する
su -
# Permission denied(権限がありません)と表示されれば設定成功
プロ技・解説:sudoとsuの制限は両輪で考える
この設定は「rootに切り替えられる人」を制限するものです。一方で1章の「sudo権限の付与」は「必要な時だけ管理者コマンドを実行できる人」を増やす設定です。実運用では、rootへの直接切り替え(su)はできるだけ使わず、必要なコマンドだけをsudo経由で実行する運用の方が、誰が何をしたかログに残りやすく安全です。
3. 固定IPアドレスの設定
インストール直後はDHCPでIPアドレスが自動割り当てされていますが、サーバーとして運用する場合はIPアドレスが変わらないよう固定化しておく必要があります。ここでは推奨されるnmcliコマンドを使った方法を紹介します。
3-1. 対象インターフェースの確認
# ネットワークデバイスの一覧を確認する
nmcli device status
# lo(ループバック)以外の、例えば ens160 のような名前が対象
# 現在のIP設定を確認する
ip a
nmcli connection show ens160
3-2. nmcliコマンドで固定IPを設定する
例として、以下の値に設定する場合のコマンドです(環境に合わせて数値を置き換えてください)。
| 項目 | 設定例 |
|---|---|
| IPアドレス | 192.168.1.50 |
| プレフィックス | 24(=255.255.255.0) |
| ゲートウェイ | 192.168.1.1 |
| DNS | 8.8.8.8, 1.1.1.1 |
| インターフェース | ens160 |
# STEP1: IPv4を手動設定に変更
sudo nmcli connection modify ens160 ipv4.method manual
# STEP2: IPアドレスとプレフィックスを設定
sudo nmcli connection modify ens160 ipv4.addresses 192.168.1.50/24
# STEP3: ゲートウェイを設定
sudo nmcli connection modify ens160 ipv4.gateway 192.168.1.1
# STEP4: DNSを設定
sudo nmcli connection modify ens160 ipv4.dns "8.8.8.8 1.1.1.1"
# STEP5: 設定を反映する(再起動不要。一度切断してから再接続する)
sudo nmcli connection down ens160
sudo nmcli connection up ens160
注意:SSHで作業している場合は接続が一瞬切れます
STEP5のdown/upを実行すると、SSH接続が一時的に切断されることがあります。設定したIPアドレスに接続し直せることを事前に確認してから作業してください。可能であれば、コンソール(モニター直結)での作業を推奨します。
4. リポジトリの追加(EPEL / Remi)
Rocky Linuxの標準リポジトリには、サーバー運用に必要な基本パッケージは揃っていますが、少しマイナーなツールや最新版のPHP等は含まれていません。信頼できる外部リポジトリを追加することで、これらをdnf installだけで導入できるようになります。
EPEL リポジトリの追加
EPELとは
EPEL(Extra Packages for Enterprise Linux)は、Fedoraプロジェクトが提供する、RHEL系ディストリビューション(Rocky Linux含む)向けの追加パッケージリポジトリです。htop、tmux、certbotなど、標準リポジトリに無い定番ツールが多数含まれています。
# EPELリポジトリを追加する
sudo dnf -y install epel-release
# 設定ファイルを確認する(enabled=1 になっていれば有効)
sudo vi /etc/yum.repos.d/epel.repo
cat /etc/yum.repos.d/epel.repo | grep enabled
Remi リポジトリの追加
Remiとは
Remiリポジトリは、PHPやMySQL/MariaDBなど、Webアプリケーション開発でよく使われるソフトウェアの最新版を提供するリポジトリです。標準リポジトリのPHPが古い場合に、複数バージョンを選んで導入できるのが特徴です。
# Remiリポジトリを追加する(バージョン番号は公式サイトで最新のものを確認)
sudo dnf -y install https://rpms.remirepo.net/enterprise/remi-release-10.rpm
# インストールされたリポジトリの一覧を確認する
rpm -ql remi-release
grep 'enabled=1' /etc/yum.repos.d/remi-*
# デフォルトでは remi-safe と remi-modular が有効になっている
特定リポジトリの一時有効化
Remiのように、通常は無効(enabled=0)になっているリポジトリを、特定のパッケージをインストールする時だけ一時的に有効化する方法です。常時有効にするより安全です。
sudo dnf --enablerepo=remi-safe install パッケージ名
プロ技・解説:常時有効化ではなく一時有効化を推奨
サードパーティのリポジトリを常時有効にしておくと、標準リポジトリのパッケージより新しいバージョンが意図せず優先されてしまう(パッケージの入れ替わり)ことがあります。必要な時だけ--enablerepoで有効化する運用にすることで、システムの構成を予測可能な状態に保てます。
4-4. 動作確認
# 有効なリポジトリの一覧を確認する
dnf repolist
# epel と remi 関連のリポジトリが表示されていればOK
5. ノートPCをサーバーとして使う場合のスリープ防止
ノートPCをRocky Linuxサーバーとして流用し、SSH/VNC/RDPでリモート運用する場合、アイドル状態でセッションが切断されたり、OS自体がスリープしてしまうと、リモートから復帰操作ができなくなってしまいます。ここではSSH接続が自動的にタイムアウトしないための設定を紹介します。
5-1. SSHセッションのアイドルタイムアウトを無効化する
# sshd の設定ファイルを編集する
sudo vi /etc/ssh/sshd_config
# 以下の設定を追記・変更する(0 =無効化)
ClientAliveInterval 0
ClientAliveCountMax 0
# 設定を反映するため sshd を再起動する
sudo systemctl restart sshd
5-2. 動作確認
# リモートセッションを開始し、30分以上放置しても
# 接続が維持されることを確認する
注意:これだけではOS自体のスリープ(サスペンド)は防げません
上記の設定はあくまで「SSH接続が勝手にタイムアウトしない」ようにするものです。ノートPCの蓋を閉じた際の自動サスペンド(systemd-logindのHandleLidSwitch設定)や、GNOMEのスリープ設定を含む、OS自体を物理的にスリープさせない設定は、詳細ページで別途まとめて解説します。
6. 次のステップへ
基本設定 総まとめは以上です
ユーザー管理・固定IP・リポジトリ・スリープ防止の基本を押さえたら、次はセキュリティ(firewalld/SELinux)やアプリケーションサーバーの構築に進みます。トップページの「Rocky Linux 9」セクションから続きの構築記録をご覧ください。